工業用バルブの擦り合わせ

工業用バルブの中でも、種類や口径によっては新品への交換よりも、メンテナンスをして継続的に使用をした方が良い場合があります。サカエ工機は今まで数多くの工業用バルブをメンテナンスしてきた実績があります。そのメンテナンス工程のポイントとなるのが「擦り合わせ」という工程です。

バルブの擦り合わせとは

バルブは流体を通したり止めたりする、制御したりすることを目的として設置されるものです。その機能はバルブの中でも弁体(ディスク、プラグ、ゲート)と弁座(シート)の2つ部品により構成されます。

その弁体と弁座の間に、傷や摩耗による隙間(クリアランス)が生じると、流体がリークしバルブの目的を失ってしまいます。必然的に、バルブをメンテナンスするという事は、この弁体と弁座の間クリアランスをなくすことです。

ではどのようにして、その隙間をなくすのか。その工程が擦り合わせと呼ばれる工程になります。

グローブ弁の擦り合わせの様子

具体的にどのように擦り合わせを行っていくのかを見てみましょう。(今回は工場にあった小口径のグローブ弁を事例として使用)

1.弁座の研磨

先ずは、弁座の接触面から触れていきます。最初に、弁座のサイズに合う擦り合わせ用の治具を選びます(サカエ工機では、様々なバルブに合わせた治具を自社で製造をしており、そこからサイズが合うものを選びます)。治具の先に紙やすりを貼り付け、磨き上げていきます。この時、手で丁寧にやる場合もあれば、ドリルなどを使用して仕上げる場合もあります。

2.弁体の研磨


続いて、弁体を研磨していきます。グローブ弁の弁体は突起状になっている為、回転台と呼ばれる治具を用いて弁体を固定します。回転台で回転をさせながら、やすりで手作業で磨き上げていきます。

3.リークチェック

双方が磨きあがった後に、塗料を用いてリークチェックを行います。弁体に塗料を手で塗り、一度閉塞します。再び解放し、塗料が綺麗に弁座についているかを確認します。綺麗についていれば擦り合わせは完了。付着していない部分がある場合は、再び研磨をして同様のチェックを行います。

その他のバルブの擦り合わせ

上記以外のバルブも当社では専用の治具を保有しており、それらを活用しながら擦り合わせを行う事が可能です。

擦り合わせは熟練工の仕事

上記のように、クリアランスを埋める作業は経験と技術が求められる仕事であると言えます。当社も治具を創っていく過程で、擦り合わせの精度も高くなってきていますが、それでも相応の知識やノウハウは必要となります。サカエ工機では技術者育成にも注力をしており、日頃から擦り合わせの実施研修を行っています。

最後に

冒頭でお伝えした通り、工業バルブの中には新品と入れ替えるよりもメンテナンスをした方が良い場合もあります。先ずは、このような擦り合わせという技術をもって、バルブのメンテナンスができるという事を知っていただければ幸いです。そして、「このバルブもメンテナンスできる?」といった簡単なご相談からお声がけいただけますと嬉しく存じます。